時間旅行の世紀 序章

(1)

それは、長い旅だった。

ホテルの窓は、半分も開かない。
おそらく、防犯のため? いや・・・それほど、治安が悪いとは思えない。

ただ・・・僕は、焦燥感に耐えていた。

2014年の No smoking hotel にて

Here is no smoking hotel!!

何やら誇らしげに謳うホテルだった。

僕は愛煙家だ。

何故かって?
君は知ってるかい?真の芸術を創り出す孤独って奴を?

僕の言う芸術とは、コンピュータのソフト開発でもなければ、流行のヒップホップとかいうParodyでもない。
心の心象風景を映す鏡たる詩・・・そして音楽だ。

でも、ちょっと待ってくれ。

僕の旋律は、いわゆるハリウッドもどきのコマーシャリズムなんかじゃない。もちろん、クソみたいなヘビーメタルとも違う。
似てるけれど、日本のヴィジュアル系とかいう死に損ないでもない。もっと尊い、そして深いものだ。

だけど、わかってるよ。
こんなことを言う僕の人生こそが、B級のComedyなんだろう。くだらねえ。

(2)

いつからか僕は、自分が他者から見て、異質な存在であるように思うようになっていた。

打たれ強いのか、楽天家なのか知らないが、小さな成功を収めるたびに、自らを神に選ばれた人間だと思うようになっていた。
と言うと・・・とても尊大な鼻持ちならん男に思えるだろうが、そんなことはない。

たとえ、自らの才能と忍耐による勝利であれ、それは神の祝福であると捉えた。まあ、大げさに言えばね。

思えば、小さい頃から数多くの災難に見舞われてきた。

自慢じゃないが、先進国(G7諸国)に住んでる人間で僕くらい、トラブルが降ってくる奴はそう、いないだろう。
トラブルが降ってくるって言うのは・・・望んだわけでもなく、不幸が襲ってくることだ。

でも、本当は何か原因があるんじゃない?

確かに、ただ・・・
何の後ろ盾もなく前例のない旅に出ると、予期せぬトラブルに巻き込まれるじゃん?
わかるかい?その旅こそが、僕の人生ってワケさ。

そう、僕は・・・あくまで、前向きに考えて、今まで生きてきた。

どんな悪いことが起こっても

「これは特別な人間に神が課したノルマだ」

「神は乗り越えらる試練しか、人に与えない」

いつだって、そう考えて・・・最終的には、それを乗り越えて・・・何か大切なものを得た気になっていた。

(3)

僕が生まれ育った日本という国は伝統的に労働を尊ぶ向きがある。

一方で自殺者が世界一だという総計も出ている。
しかしながら、そんなのは氷山の一角の愚か者のすることだ。

誰だって敗北者にはなりたくない。

「負けたくなければ働け」

僕は、そう言われて育った。そう信じて生きてきた。

しかし、世界基準に反した価値観は欧州へ移住してから、すぐに崩壊する。

「働いたら負けだ」

誰に言われたわけではないが・・・フランスにいた頃、何となく、そう皮肉を言われてる気がした。

(価値観を否定され最初は腹が立ったけど)楽になれた。

ぶどう樹の葉に隠れた昼下がりのロマンス。

Mr. No Smile とのニックネームを頂戴していた僕に笑顔が戻ってきた。

僕・・・猫田 光(ねこた ひかる)は、7年前に祖国を捨てた。

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